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眼球運動

●いろいろな眼球運動
前述の「両眼のチームワーク」は「よせ運動(Vergence)」と呼ばれる眼球運動です。
眼球運動には、この他に、単眼での「ひき運動(Duction)」と、両眼での「むき運動(Version)」があります。

当店では、必要と判断した場合に、簡易的ではありますがチェックを行っております。
チェック項目は下記の3点です。まず両眼視の状態で確認し、不十分な点が見受けられれば、片眼ずつ確認をします。

① 固視 (Fixation)
一つのものに注意を集中して見る能力です。

例えば、目の前に置かれた一個の消しゴムを、キョロキョロすることなく、ジッと見続けることができるかどうか、ということです。


② 滑動性追従運動 (パスート: Pursuit)
「視覚対象物が動いているとき、眼球がその動きを追従してゆっくり動き、注視を続けること」 
大鹿哲郎 『英和・和英眼科辞典』 医学書院

例えば、回転寿司で、奥から流れてくるタコの握りが自分の目の前に来るまで、眼で追いかけるような動作です。


③ 衝動性眼球運動 (サケード: Saccade)
「中心窩固視を得るために行われるすばやい共同性眼球運動」
大鹿哲郎 『英和・和英眼科辞典』 医学書院

サッケード、サッカードなどと記されている文献もあります。
例えば、もぐらたたきゲームをしているときに、飛び出てきたモグラをすばやく眼で捉えるような動作です。

●眼球運動と読書
右のような文章を読もうとするとき、通常私たちの眼は一行目の左から右、二行目の左から右、と順々に進んでいきます。
このときの眼の動きでメインとなるのは、ゆっくりとしたパスートでしょうか、それともすばやいサケードでしょうか?
(右の文章は、角川文庫『ポケットジョーク』より引用しております)

多くの人はパスートとお答えになりますが、実際はサケードです。
私たちは文章を幾つかのブロックに区分けし、そのブロックごとに順番に固視していきます。
最初のブロックを固視し、次のブロックを固視する。
最後のブロックまでこれを繰り返すわけです。
このときの固視→固視→固視に必要な動きがサケードです。
右の例では全部で11回の固視を、サケードでつないでいるわけです。

右の例では固視の回数は6回です。
さきの11回の固視をする場合に比べて、一度の固視で眼に入る(認識できる)文字数が多くなります。
固視が少ないと、各駅停車と快速電車の違いのように、同じ文章を読んだときの所要時間が短縮できます。


この例では2回の固視で済んでいます。
1回サケードを行うだけでよいのです。
読書スピードはそれだけ速くなります。
速読の上手な人は、一度の固視で眼に入る文字数が多く、サケードも正確なのだと思われます。


これは読書効率が悪い場合のイメージです。固視の回数が多く、サッケードが不安定なため、同じところを読んだり、行を飛ばしたりしてしまいます。
これでは時間がかかるし、内容も正確に頭に入ってきません。



「読書が苦手」といった場合、別項で説明したような、ピント合わせの機能であったり、斜位や斜視によって両眼のチームワーク(よせ運動)が阻害されていることが原因の場合がよくあります。
しかし、ここで説明したような眼球運動に不具合があっても、読書効率は著しく低下します。

「計算問題は得意だけど、文章問題は苦手」「文章問題は苦手だけれど、同じ文章を読み聞かせてもらうと答えられる」などといったケースは、このような眼球運動機能の低下に由来している可能性があるのです。

眼球運動は読書だけでなく、スポーツ、特に球技をする場合にも重要です。
いわゆる「スポーツビジョン」では、眼球運動のトレーニングが必ずといっていいほど、メニューに組み込まれています。

ちなみに、正確な眼球運動を得るためには、頭(顔)の動きが最小限度であることが重要です。
つまり、眼と一緒に頭(顔)が動いてしまうのは好ましくないわけです。
眼球運動トレーニングの際には、「頭(顔)は動かさず、眼だけ動かす」ということが要求されるのです。


両眼のチームワーク



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