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近視・遠視・乱視~屈折異常  ( Refractive error )
近視 ( Myopia , Nearsightedness)
平行光線が無調節状態の眼に入ったとき、網膜の前方に像を結ぶか、または眼前有限距離にある点から発散する光線が網膜上に結像する眼の屈折状態
                    所敬・金井淳 『現代の眼科学』 金原出版
遠くはっきり 遠く見にくい
正視であればはっきり見えるはずの遠方物体が、
ぼやけて見にくい状態になってしまいます。
眼軸性の図
眼軸(角膜表面から網膜まで)が通常より長いため近視になる「軸性近視」
屈折性の図
眼軸の長さは正常でも、角膜や水晶体の屈折力が強すぎて近視になる「屈折性近視」
近視は構造的に上記の2つに分類されますが、どちらのタイプなのかを明確に判断するのは難しく、両方のタイプが複合した近視も多いようです。
近視の場合、無限遠方の物体はぼやけてしまいますが、ある程度まで物体が近づいてくると、はっきり見えるようになる距離があります。
これを「
近点」と呼び、これは近視の度数によって異なります。
近点が30~40cmだと、高齢になって調節力が低下しても、手元は見やすいのです。
(ただし、遠くのよく見えるメガネを装用してしまうと、手元はぼやけてしますいます)
マイナスレンズで矯正
近視を矯正するためには、レンズの中央が薄くて、縁が厚くなる、「マイナスレンズ(凹レンズ)」を使用します。
遠視 ( Hyperopia ,Farsightedness)
平行光線が無調節状態の眼に入ったとき、網膜より後方に結像する屈折状態
         所敬・金井淳 『現代の眼科学』 (金原出版)
遠視の場合、ある程度の度数なら、遠くはよく見えてしまいます。そのため「眼がいい」と判断されてしまいがちですが、そこに落とし穴があるのです。実は、眼に負担がかかっています。
お子様の遠視の場合、本人は自覚症状を訴えないので見過ごされやすいですが、左右で大きく度数の違う遠視の場合は、特に注意が必要です。
はっきり見えています
ある程度までの遠視なら、遠くまで、よ~く見えます。
視力2.0だったりします。
何も問題がないように思えますが、
眼の中で何が起こっているのでしょうか?
非調節遠視画像
非調節遠視の図
実は、遠視というのは、調節をしていない状態の時には、無限遠方の物体は、網膜より後ろにピントが合ってしまっています。 つまり、調節をしていない状態では、こんな感じにボケて見えてしまうのです。
これでは具合が悪いですから。。。
 ↓
調節した遠視の図 調節した遠視の画像
水晶体を膨らませて調節することにより、網膜上に無理矢理ピントを合わせるのです。
そうすれば、遠くの物体にピントがしっかり合うので、よく見えるわけです。
近視同様、遠視の成因は「軸性」「屈折性」に分類されますが、明確な判断は難しいようです。


「近いところのものを見ようとするとき、眼は調節をしています」と「調節」の項で解説しました。
遠視の場合は、遠いところを見ているときも、調節をしているのです。
近くを見るときは、遠くを見るときよりも、もっと調節をしています。
つまり、一日中、眼を開けている限りは調節をしているわけです。

調節力が十分あって、遠視の度数が軽度なら、それほど負担には感じないかもしれません。


しかし、遠視の度数が強かったり、調節力が少なくなってきたりすると、遠くにピントを合わせることが苦痛になり、遠方の視力が低下します。仮に遠くは一応はっきり見えたとしても、手元は遠くよりもっと調節が必要ですから、見にくさを感じます。
遠くはっきり 遠くボヤけ
近くもはっきり 近くもボヤけ
遠視の度数が弱度なほど、そして年齢が若いほど、遠方・近方の視力自体には影響が出にくい。 遠視の度数が強いほど、そして年齢が増加するほど、遠方・近方どちらの視力にも影響が出てくる。
プラスレンズで矯正
遠視を矯正するためには、レンズの中央が厚くて、縁が薄くなる、「プラスレンズ(凸レンズ)」を使用します。
●遠視の落とし穴
遠視というのは、絶えず眼の筋肉を使って調節をしている眼です。
とても疲れますし、まぶしさを訴える人も多くおられます。
眼が疲れたり、肩が凝ったり、そんな状態が続けば、だれだってイライラしてきます。
子供さんであっても同じです。

「本を読みたがらない」「落ち着きがない」そういう子供さんには、往々にして遠視がある場合があります。
近視であれば、学校の視力検査で引っかかりますので発見されやすいですが、遠視の場合は特に遠方視力においては「良好」という結果になってしまいやすく、ついつい見過ごされてしまいます。

また、片方の眼に、より度数の強い遠視があり、それを放置したまま幼少期を過ごしてしまうと、遠視が強い方の眼の視力が向上せず、いわゆる「弱視」という状態になってしまう場合もあります。
なぜ、そうなってしまうのか。。。
ポイントは、「両眼をあけて物を見ているとき、左右別々に調節を働かせることはできない」という特性にあります。
これについて、少しお話ししてみたいと思います。
ある子供さんが、本来は、下図のような状態だったとしましょう。
非調節の遠視 正視
左眼・・・4段階の遠視あり
調節をしなければ遠くが見えない
右眼・・・正視
調節をせずに、遠くがよく見える
通常の視力検査は、片眼を閉じて行いますね。
この子供さんの視力検査が、どのような結果になるかというと。。。。。
調節した遠視 正視
左眼・・・視力1.0以上
(ただし、4段階の調節をしている)
右眼・・・視力1.0以上
片眼ずつ測定した場合、左右ともに1.0以上見えているという判断をされてしまいます。
この子供さんの場合、遠くのものを見ようとするとき、右眼は調節なしで大丈夫ですが、左眼は4段階の調節をしないといけません。
片眼で遠くのものを見ている場合は、それぞれの眼に必要な量だけ調節をすることができます。
しかし、両眼で見ているときは、右眼は調節なし、左眼は4段階の調節、というふうに左右別々に調節をすることはできません。人間の眼は、左右の調節量が同じで、かつ、できるだけ調節が少なくすむように働きますので、この場合なら左右ともに調節なしで物を見ようとします。
その結果、右眼でははっきり見えるけれど、左眼はぼやけた状態になります。
本当はそのように見えているのです。
はっきり見えているのは右眼のおかげで、左眼は常にぼやけているのです。

仮に両眼を開けて検査をしても、右眼がよく見えているので、実際は右眼でしか見ていないにもかかわらず、視力1.0以上と判断されてしまうはずです。
このような理由で、特に弱度の遠視であるほど、一般的な視力測定では見過ごされやすいわけです。

ちなみに、近いところを見るときも、同じことが起こります。
たとえば眼から40cm前にある物を見ようとするとき、この子供さんの場合は、理論上、右眼では10段階の調節をすることになります。一方、左眼はもともと必要だった4段階の調節から、さらに10段階の調節が必要なので、あわせて14段階の調節をすることになります。
両眼で見ようとする場合、調節力が弱くなるように眼は働きますから、右眼にあわせた10段階の調節しかしてくれません。そのため、左眼はぼやけた状態になってしまうのです。
よく見えています 左眼見にくい 右眼よく見えています
両眼を開けて見ているぶんには、問題ないように感じるけれど、実際は・・・・・ 左眼はぼやけていて 右眼でのみ、はっきり見えているのです。
このように、遠視の度数に左右差がある場合、遠くも近くも、度数が弱いほうの眼で物をはっきり見ていることになるのです。

そういう見え方をしている場合、大人であれば「何かおかしい」と気づくでしょうが、子供さんの場合、最初からそういう見え方をしていれば「そういうものだ」と思ってしまうでしょう。

そういう見え方が当たり前、という状態でずっと過ごしていれば、左眼はいつもぼやけた景色しか映りません。
左右の見え方が不均衡では遠近感が狂いますので、運動する上で支障があります。
何よりも、左眼の「見る力」が一向に養われません。

そのまま放置しておくと、いざメガネをかけようと度数を合わせても、左眼は十分な視力が得られなくなってしまいます。
これが「左右の度数差がある遠視による弱視」が起こるメカニズムです。

なお、このために「弱視」になるのは、左右の眼におよそ8段階以上の度数差のある状態が、9歳くらいまで放置されているようなケースが多いようです。もちろん、これには個人差がありますので、絶対的なことは言えません。

近年は、三歳児検診のおかげで「弱視」になりそうな子供さんが発見される確率はかなり高くなったと聞いています。それは非常に喜ばしいことだと思います。

問題なのは、お医者様から「メガネをかけなさい」と言われているのに、親御さんが子供さんにメガネをかけさせたがらないケースです。
「メガネをかけると、もっと度が進んでしまうから」と心配をされている親御さんがおられます。きちんと眼に合った度数のメガネを装用している限りにおいては、メガネのせいで度が進むという心配はなさらなくてよいと思います。
それから、「かわいそう」とか「いじめられそう」といったような心情的な面で、メガネ装用に消極的な親御さんも多いです。
お気持ちはお察ししますが、一番かわいそうなのは、見えにくい状態で放置されている子供さんです。メガネをかけないでいることで、将来視力が出にくくなってしまったら、それこそ本当にかわいそうなことになってしまいます。
メガネをかけるというとことを、「早く気がついてよかった」と、前向きにとらえていただけたらと、切に願っています。

遠視を見逃さないためには、屈折検査を受けることが大切だと思います。
遠視を発見しやすくするためには、検査中に調節が働かないようにすることが必要です。
そのためには、
①薬を用いて、調節機能を麻痺させる
②両眼を開けた状態で、右眼・左眼それぞれの度数を測る

のどちらかの方法が有効です。

前者はお医者様のみに可能な方法、後者はメガネ店でも可能な方法です。
個人的見解ですが、低年齢の子供さんほど、前者の方法が適切ではないかと考えます。

捕捉: 弱視について
弱視には、いろいろなタイプがあります。
上記のような、遠視の度数差に由来するものは「不同視弱視」に分類されます。
度数の強い方の眼に視力低下が起こるものです。
不同視弱視には、乱視によるもの、近視によるものも含まれます。
不同視弱視以外にも、両眼に著しい屈折異常があるために生じるもの、斜視により生じるものなどがあり、これらは「機能弱視」に分類され、早期発見・対応により改善が見込まれる場合もあります。
また、眼の組織に器質的な病変があるために生じるものは「器質弱視」と呼ばれ「機能弱視」とは区別されます。

乱視 ( Astigmatism)
眼の経線により屈折力が違い、外界の一点から出た光線が眼内で一点に結像しない眼の屈折状態」   所敬・金井淳 『現代の眼科学』 金原出版
乱視の図
近視や遠視なら、どこかに焦点が合いますが、乱視の場合は焦点が一つに定まりません。
ゆえに、はっきり見えるところが見つかりません。
通常、乱視といえば「正乱視」のことを差し、これは円柱レンズ(シリンダーレンズ)によって矯正されます。また、角膜や水晶体の屈折面が不均衡なために生じるものを「不正乱視」と呼びます。
これは円柱レンズでは矯正しきれません。コンタクトレンズによる矯正が有効な場合があります。

乱視は、いわば、方向によって度数が異なる状態です。
「弱い近視と強い近視」の組み合わせ、「弱い遠視と強い遠視」の組み合わせ、「近視と遠視」の組み合わせ、などなど、度数のタイプや方向により分類されますが、いずれにしても、ピントのはっきり合う場所が見つからないため、煩わしいのです。特に遠視系の乱視の場合は、調節機能により大きな負担がかかります。(ビデオカメラのオートフォーカスがうまく働かなくて行ったり来たりしているような状態を思い浮かべてください。とっても疲れそうですよね)
乱視があると、下図のような見え方になります。(あくまでもイメージです)
正視
正視眼であれば、均等の濃さに見える放射状の線ですが、、、
直乱視
① 縦方向の線が濃く見えます。
(こういう見え方のする乱視を直乱視と呼びます)
上下の切れ目OK
この場合、ランドルト環の上下の切れ目はわかりやすいですが、左右の切れ目はわかりにくくなります。
倒乱視
② 横方向の線が濃く見えます。
(このような見え方のする乱視が倒乱視です)
左右の切れ目OK ニに見えます
この場合、ランドルト環の左右はわかりやすく、上下がわかりにくくなります。
また、縦線がボケて見えるため、カタカナの「ニ・コ・エ」がすべて「ニ」のように見えてしまったりもします。
※斜め方向の線が濃く見えたら、斜乱視となります。
弱度の乱視、特に「単性乱視」と呼ばれる、「正視と近視」「正視と遠視」の組み合わせによる乱視の場合、視力が結構得られますので、そのまま放置されるケースも多いです。
ただ、乱視をメガネで矯正しようとする場合、空間の違和感、たとえば「床が浮き上がって見える」とか、「壁が傾いて見える」といった感じを覚えることが、近視や遠視の場合より多いようです。
これは、より強度数の乱視を矯正しようとすればするほど起こりやすくなる現象です。
最終的に、この違和感に慣れてしまえば、何ら問題はないのですが、年齢が高くなるに連れ、適応力が落ちてくるのが一般的です。
そうすると、「違和感なくかけられるメガネをつくる」ためには、乱視の度数を弱め弱めに調整しなくてはならなくなります。その結果、「はっきり見える感じ」は低下します。
ですから、なるべく早いうちに、メガネを装用されることをおすすめします。

これは遠視や近視を矯正する場合も同様ですが、「はっきり見える、眼にとってベストの度数(本当に必要な度数)」と「快適にメガネをかけられる度数」とを、いかに近づけるか、これが度数決定をする上でのポイントです。

場合によっては「最初は違和感が出ますけれど、慣れてくださいね」とお願いすることもあります。フレーム選び、レンズ選びと同様に、度数を決定するのもお客様と相談しながら行っていく必要があります。メガネづくりは「メガネ店とお客様との共同作業」で成り立つものです。
お客様の希望を可能な限り満たすことができるよう、せいいっぱい努めますので、よろしくお願いいたします。
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